
ラップトップ一つで世界中を旅し、働くことが可能となった現代において、宿泊施設の在り方もまた、変容を迫られている。
沖縄県名護市において進行中のこの宿泊施設プロジェクトでは、極端なプライバシー確保や非日常的な演出を追求するのではなく、日常の延長線上にある、開かれたリゾートの可能性を探求している。この理念に基づき、施設の設計は旅人が個室に閉じこもることなく、自然と共用空間に足を運びたくなるような構成となっている。
共用部は大きく開かれ、屋外には建築と一体化したベンチなどの小さな居場所が点在し、それぞれが誰かの居場所となる。外の空気を感じながら仕事をしたり、本を読んだり、昼寝をしたり、あるいは偶然出会った他の旅人と酒を酌み交わすといった風景は、従来のリゾート施設というよりも、集落に近い。
「semilla」というブランド名は、villa(邸宅)と village(集落)のあいだを意味し、この施設が目指す空間の在り方を象徴している。ニュートラルな空間で生まれる軽やかで偶発的なつながりによって、風の時代にふさわしい新たな滞在の価値を生み出そうとしている。
【Data】
種別:設計監理、ブランディング
用途:ホテル
構造:RC 造
所在地:沖縄県名護市
竣工:1期工事/2026 年予定
Category: Design, Branding
Principle use: Hotel
Structure: RC
Location: Nago, Okinawa
Scheduled completion: 2026









