閑静な住宅地に計画した戸建住宅の提案。敷地は角地に位置し、落ち着いた住宅地の中にあるが、前面道路が狭く、プライバシーの確保が課題だった。そこで周囲の視線が抜けても問題のない方向にのみテラスを開き、ルーバーで囲うことで、外部からの視線を遮りながらも光と風を取り込み、内外をゆるやかに繋ぐ関係をつくった。

「家族で過ごす時間を大切にしたい」という施主の意向に応えるため、家族それぞれの居場所が室内に点在し、それらが有機的につながり合うプランを提案した。リビング・ダイニングを中心に、通路部に点在するヌック、ライブラリ、ソファスペースは、壁で完全に仕切るのではなく、視線が見え隠れする距離感の中に配置されている。家族はそれぞれ好きな場所を選びながらも、お互いの気配を感じながら過ごすことができ、「一緒にいながら一人になれる」「離れていながら繋がっている」という、距離感の選択肢を持った住まい方を目指した。

こうした、居場所を分散させながらも全体を一つの場としてまとめあげるアプローチは、私たちが『semilla NAGO OKINAWA』において、独立した居場所が点在しながら緩やかに繋がる村落的な空間構成を試みたことと通底している。この提案はその思想を住宅という、より親密なスケールへと置き換えた試みでもある。
【Data】
House I - Project
種別:基本計画・コンペ(Unbuilt)
用途:個人住宅
構造:木造
敷地面積:258.24㎡
延床面積:255.05㎡
所在地:東京都
提案:2026 年6 月

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