アイスランドという凍てつく大地において、火山が生み出す熱は、人々にとって大いなる恵みであり続けてきた。地熱エネルギーを活用して築かれた温水供給システムは、単なるインフラにとどまらず、人々が集う場を生み出す文化的基盤となっている。ここでは大地からの贈り物である地熱を讃え、その最も力強く象徴的な存在である火山に敬意を捧げる建築を構想しようと考えた。
この土地にそびえ立つ火山の形にインスピレーションを受けて、火口を模した円形の屋根形状とし、平面計画にも円形を採用した。空間は円環状に構成されており、サウナ/水風呂/外気浴/温室/半露天風呂という温浴体験の一連の動作をそのままなぞるように、反時計回りに巡っていく。熱と冷、閉鎖と開放、暗と光といった対極を一連の動作の中で反復していくことで、そこに感情的かつ感覚的なリズムが生まれる。それはある種の儀式のような感覚を呼び起こし、この地に暮らす人々が積み重ねてきた、火山への敬意そのものを追体験させるだろう。
円環の中心には足湯を配置し、丸い屋根の孔から空を見上げる。温室は日々の暮らしを支えるハーブや植物を育てながら、地域の社交の場となる。火山という大地の力そのものが豊かな空間体験を生み出し、身体はそれを巡ることで自然と一体化していく。
【Data】
In Gratitude to the earth
種別:コンペティション応募作品
用途:サウナ、温室
構造:木造
階数:1 階
延床面積:34.68 ㎡
計画地:アイスランド
提案時期:2026 年5 月

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